1.課目と評点(総計100点)
試験課目 | 評価 | |
---|---|---|
専門 | 1・足跡追跡(自臭)約120歩(5分) | 30 |
2・物品選別(自臭) | 30 | |
3・防衛 | 30 | |
服 従 |
1・紐無脚側行進 | 10 |
2・常歩行進中の立止 | 10 | |
3・常歩行進中の伏臥 | 10 | |
4・待座招呼(常歩行進中、一旦停止) | 10 | |
5・650gダンベル持来 | 10 | |
6・高さ80㎝障害飛越(片道) | 10 | |
7・休止(3分) | 10 | |
総 計(100点) | 100 |
A.専門作業(30点)
1.指導手自身の足跡追求 30点
2.指導手の自臭による物品選別 30点
3.防衛 奇襲と防御 30点
B.服従作業(70点)
2.試験実施要領
A.専門作業
専門作業は、(1)足跡追求作業、(2)物品選別、(3)防衛 いずれかを選択することができる。
(1)足跡追求作業(30点)追求態度を重視する
①指導手自身による約120歩の足跡線2屈折とし、若干の伸縮をすることもある。
②遺留物品は、終点1個、計2個 (起点に物品を置いても良い)
遺留物品の大きさ:<基本>長さ10cm、幅2~3㎝、厚さ0.5~1㎝の木片
③捜索紐は10mとする。
審査員のもとで脚側停座をさせ、審査員に申告を行う。犬が遺留物品を「咥え上げる」か「ポイントする」か又、捜索紐を離して追求するか、捜索紐の末端を指導手が持って追求するかは選択制とし、審査員に申告する。
出発点並びに印跡は正常な態度歩度をもって行う。地面を引っかいたり、足を引きずってはならない。先ず犬を伏臥待機させ、自己の体臭をつけた物品(形状及び色は、その土地に対して目立たない小型の物とし、ダンベル、ボールその他、常時訓練に使用している木片等審査員の不適当と認めるものは使用してはならない)を所持し、審査員の指示に基づいて印跡する。
屈折は直角に2回とし、終点に物品を置き、なるべく風下を迂回して犬の所に戻る。但し、第1コースは原則として、約40歩以上とする。作業開始は印跡終了後、一定時間を定めて審査員の指示で開始する。
首輪、又は胴輪に捜索紐をつけて起点に至り、遺留してある物品の臭気を取らせた後、追求動作に入る。捜索紐が伸び切らないうちは追求のやり直しは認めるが、捜索紐が伸び切った後は、やり直しは認めない。
「サガセ」の指示で犬が前進し始めても指導手は出発点に止まり、10mの捜索紐を順次手から繰り出し、出し切る直前で捜索紐の末端を持って、約10mの距離を維持しつつ犬に従って前進を開始する。紐なしで追求作業を行う場合も約10mの距離は維持されなければならない。
捜索紐が伸び切らないうちは、追求のやり直しは認めるが、捜索紐が伸び切った後は、やり直しは認めない。「サガセ」の指示で犬が前進し始めても指導手は出発点に止まり、10mの捜索紐を順次手から繰り出し、出し切る直前で捜索紐の末端を持って、約10mの距離を維持しつつ犬に従って前進を開始する。紐なしで追求作業を行う場合も約10mの距離は維持されなければならない。
捜索紐が樹木等の障害物にかかり、犬が進行できない時は、審査員の承諾を求めてこれを脱し、起点と同じ要領で再び発進させる。
犬は遺留品を見つけると、指導手の指示なしで、指導手が申告した方法で遺留品の発見を確実に示さなければならない。
犬が遺留品の発見を確実に指示したら、審査員の指示により速やかに犬のもとへ行き、物品をとり、高く上げて審査員に示し、脚側に停座させる。
犬が足跡コースから最大限、捜索紐以上離れた場合、追求作業は中止される。犬が足跡コースから外れ、指導手が犬を引き戻した場合、審査員は指導手に犬に従うように注意する。再度行った時は失格とする。
(2)指導手の自臭による物品選別 声符「サガセ」「モッテコイ」
指導手は犬を出発点に伴い、選別台に対し反対向きに脚側停座させ、審査委員の指示を待つ。自己の体臭付着物品1個(唾液・犬臭等をつけてはならない)とともに他人臭同一人の誘惑物品4個を、約10m前方の選別台上に配置する。審査委員の指示により反転し犬を脚側停座させる。本臭物品(原臭)を嗅がせ、選別台に向けてスタートさせて作業を開始する。犬が物品の所在を発見するまでは、声視符による方向指示をしても良いが、犬が物品の所在を発見したら、一切の声視符を禁ずる。但し、犬が物品を完全に咥え上げたならば招呼する。
脚側に付ける要領は「持来」(Bの5)の項に準ずる。この作業は適当な間隔を置き、物品の配置を変えて(審査委員の指示による)原則として3回実施する。1回の制限時間は限定せず、物品は5個とし、審査委員の承認を得た物品とする。
この作業の採点は次のとおりとする。
3回成功 25点
2回成功 20点
1回成功 10点 *選別態度 5点
(3)防衛(30点)奇襲と防御
①奇襲 審査員の指示により、指導手は犬を伴いコモから30歩離れた作業開始地点にて基本姿勢を取る。この時点で紐は外したすき掛けまたはしまわなくてはならない。審査員の指示でコモへ向かい脚側行進を開始する。指導手がコモ手前10歩に到達次第審査員の指示でヘルパーが威嚇しながら奇襲攻撃を行う。犬は即座に自信に満ち溢れた態度で力強い咬捕で奇襲攻撃を防がなくてはならない。指導手は動いてはならないが、一度まで犬を励ます言葉の発声が許される。咬んでいる間、ヘルパーは身体で威圧する。審査員の指示でヘルパーは静止し、犬は自主的にまたは指導手の放せという命令により、ヘルパーの片袖を放し、直ちに監視する。審査員の指示で指導手は犬に歩み寄り、停座を促す声符で基本姿勢を取る。
②防御 指導手と犬は作業開始地点で基本姿勢を取る。審査員の指示でヘルパーは40歩先から指導手と犬に対し大声で威嚇をしながら犬に正面から襲い掛かる。指導手とヘルパーの距離が30歩に縮まると審査員の指示により、指導手は防御を促す命令で犬を発進させる。犬は躊躇することなく力強い咬捕でヘルパーの動作を止める必要がある。犬の発進後、指導手は止まり、立ち位置を変更してはならない。審査員の指示でヘルパーは静止する。ヘルパーが静止したら犬は直ちに咬捕をやめ監視に移る。指導手は審査員の指示なく放せという命令を発することができる。審査員の指示により指導手は常歩で犬のもとへ行き、停座を促す命令で基本姿勢をとり、犬の首輪にリードをつける。
③犬が服従しない、勝手にヘルパーの潜むテントに向かう、試験のリンクの中であっても勝手な方向へと向かった場合、犬を呼び寄せる声符の使用を3回まで認められる。犬が3回の命令で肩袖を放さない場合、ヘルパーの肩袖以外を咬んだ場合、リンク外に逸走した場合は作業を中止とする。
B.服従作業
(1)紐無脚側行進(10点)
審査員の指示により、脚側停座した犬から引紐を解き、これを肩に掛けるか、たすき掛けにする。コースはコの字型(45歩)を基本とし、往路は常歩、復路は速歩とする。指導手は復路スタート地点に戻り、反転後、停止したならば直ちに、犬に脚側停座をさせる。(コーナーと反転の際、犬に指示の声視符を与えて良い。)
(2)常歩行進中の立止(10点)
脚側停座から、常歩行進中、第1コース中間地点で指導手は歩度を変えたり、振り返ることなく、犬に「立止」を命じる。指導手はそのまま直進し、第1コーナーで反転し犬に対面し停止する。審査員の指示により犬のもとに戻り、犬の右側に立って、審査員の指示で脚側停座させる。(犬のもとに戻るときは、立止している犬に向かって右側から後方を回って脚側停座させる。)
(3)常歩行進中の伏臥(10点)
続いて脚側停座から、常歩で脚側行進を行ない、第2コース中間地点で指導手は歩度を変えたり、振り返ることなく、犬に「伏臥」を命じる。指導手はそのまま第2コーナーまで直進し、犬に対面し停止する。審査員の指示により犬のもとに戻り、犬の右側に立って、審査員の指示で脚側停座させる。(要領は上記に準ずる。)
(4)待座及び招呼(10点)
脚側停座から引き続き常歩で脚側行進を行ない、第2コーナーから5歩の地点で一旦停止し、「脚側停座」を命じ、犬を待座させ、指導手はそのまま最終地点まで直進し、犬に対面する。審査員の指示で犬を招呼する。犬は喜々として帰来し、指導手の直前に停座するか、又は直接、脚側に停座する。声符「アトエ」で脚側停座させる。(直前に停座した場合、犬は指導手の後ろを回っても、直接、左脚側に停座しても良い。)
(5)650gダンベル持来(10点)
脚側停座から、ダンベルを所定の位置より約8m前方に投げ、審査員の指示により「持来を促す声符」を命ずる。犬は迅速な歩度でダンベルの所へ行き、直ちにくわえ上げ、指導手のもとに持来する。この時、「モッテコイ」等、犬にも指示を与えても良い。犬はダンベルを咥えたまま指導手の直前に停座することを原則とするが、直接指導手の脚側に停座しても良い。
審査員の指示により指導手がダンベルを取り上げるまで、これを咥えていなければならない。犬を指導手の前に停座させた場合には、ダンベルを受け取り、審査員の指示なしで犬に脚側停座を命ずる。犬が脚側停座するまで指導手は位置を変えてはならない。(直前に停座した場合、犬は指導手の後ろを回っても、直接左脚側に停座しても良い)
(6)高さ80cm障害飛越(片道)(10点)
障害から任意の位置に犬を紐無しで伴い脚側停座させた後、審査員の指示により犬に障害を飛越させる。犬が飛越したら指導手は、声符「マテ」を命じ、審査員の指示により指導手は障害を迂回して犬のもとに戻り、審査員の指示で脚側停座を命ずる。指導手は、犬を伴って障害の前に立ってから飛越後、声符「マテ」の指示で犬が停止するまで、その位置を変えてはならない。
(7)休止(3分)(10点)
指導手は所定の位置に犬を伏臥させ、犬の方を振り返ることなく審査員の指示する遮蔽下に隠れる。犬の側には何も置いてはならない。審査員は指導手が隠れたのち、銃声を2発鳴らす。指導手は3分後、審査員の指示により犬のもとに戻り、審査員の指示で脚側停座をさせ作業を終わる。
犬体検査
犬の習性及びしつけを観察する目的をもって犬体の検査を行う。(稟性に主眼を置く)
指導手は紐付きにて審査員の前に立たせ、審査員は平静な態度で実施する。
「一般態度」とは試験中は勿論、受験前後の態度を意味するものである。
①審査員は犬の、頭、肩、背腰部、睾丸などに触れ、また指導手にロを開かせて歯牙を検査する。(耳番号またはマイクロチップの確認も行う)
②犬は犬体検査の間、不安な態度や過敏な様子、あるいは凶暴性などを現してはならない。
③攻撃的で触れないもの、不安を呈し逃避しようとするものは不合格とする。
令和5年7月1日 改定